Authors : |
榊原高之*, 森川哲夫*, 後藤一雄*, 水庭弘進*, 今井康晴*, 今野草二*, 細田典夫**, 中沢誠**, 高尾篤良** |
Abstract : |
「はじめに」先天性肺動脈弁欠如症は, 従来剖検時, または手術時のみに確定診断のできるきわめて診断の困難な疾患とされていたが, 最近経験が積み重ねられていくにつれて, その臨床像が明確になり, 臨床所見から診断する事も可能になつてきた. 日本心臓血圧研究所においても古くから本症に注目し, その都度報告してきたが1)2), 最近, 心室中隔欠損と, 肺動脈狭窄を合併した7才女児の本症に対して, 異種肺動脈弁を用いて手術に成功した. いまだ外科治験報告例の少ない疾患であり, 1例, 1例, その形態には相当の差異があり, 手術方法に工夫を加えなければならないと思われるので, あえて1例報告をして, 諸家の批判を仰ぎたい. 「症例」患者:SA, 7才, 女子. 家族歴, 既往歴に特記すべきものはない. 現病歴:生後1ヵ月頃より心雑音を指摘されたが, チアノーゼはなかつた. 乳児期より呼吸器感染を繰返し, 心室中隔欠損症+肺動脈弁狭窄閉鎖不全という診断で, 外来通院をしていたが, 昭和47年9月, 精査のために入院した. |