アブストラクト(21巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 右室切開法に関する研究 圧負荷に対する右室圧発生機能期外収縮発生からの検討
Subtitle : 原著
Authors : 谷口堯
Authors(kana) :
Organization : 榊原十全病院
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 21
Number : 10
Page : 921-931
Year/Month : 1973 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 術後右室に圧負荷の残るフアロー四微症, 高肺血管抵抗性心室中隔欠損症などでは術後の右室機能を可及的温存できる右室切開法を用いる必要がある. 本研究では右室切開の部位, 方向が右室の圧発生機能および期外収縮発生に及ぼす影響を肺動脈狭窄による右室圧負荷法によって比較検討した. 雑種成犬40頭を用いた. 肺動脈圧, 右室圧, 心電図の記録を用い, 肺動脈起始部にrumell tourniquetをまわし, 約25秒の時間をかけて徐々に肺動脈の狭窄を行なった. 狭窄により右室圧は徐々に上昇するが, 肺動脈圧は狭窄初期は定常的に保たれ, ある狭窄点を境として急速に下降する. 肺動脈収縮期圧が10%下降する点の右室収縮期圧をもって定常循環最高右室圧, 肺動脈完全遮断時の右室収縮期圧を最高右室圧, 狭窄前の右室収縮期圧を初期右室圧とした. 定常循環最高右室圧は圧負荷に対する循環系のhomeostasisを保ちうる最高右室圧である. まず, これらの値を右冠状動脈遮断, 右室横切開(自由壁中央部), 縦切開, 上部(流出部)横切開, 下部(流入部)横切開のそれぞれの群について求め, 各侵襲を与える前の対照値と比較した. 定常循環最高右室圧, 最高右室圧については横切開群, 上部横切開群では対照値と有意の差はなかったが, 縦切開群と下部横切開群では対照値より低下が認められた. 定常循環最高右室圧・初期右岸圧比については右冠状動脈遮断群, 縦切開群で有意の低下が認められた. 肺動脈狭窄による圧負荷の途中でしばしば心室性期外収縮が発生したが, その頻度は縦切開群で67%, 横切開群(上, 下部横切開群をふくむ)で50%であった. また期外収縮発生時点の右室圧は縦切横群で平均43mmHg, 横切開群で73mmHgであった. 以上の結果から術後右室圧負荷を残すような疾患では縦切開よりも横切横, とくに上部横切開を用いるのが安全性が高いと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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