アブストラクト(21巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 稀釈体外循環による開心術後の水分代謝の研究
Subtitle :
Authors : 稲村信正, 藤森正雄
Authors(kana) :
Organization : 群馬大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 21
Number : 11
Page : 1068-1079
Year/Month : 1973 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 現在直視下心臓手術は安全に行なわれるようになつているが, 稀釈体外循環では術後体内に水分負荷が起こり易く, 術後管理の面から適切な輸液量を知ることは重要である. 著者は稀釈体外循環による開心術後の適切な輸液量を知る目的で, 術後輸液量を1日当り500ml/M2, 750ml/M2, 1000ml/M2の3群に分け, 術後の水分代謝および腎の溶質排泄能の検討を行なつた. 各群とも潅流終了後5~6時間の時点で約1000ml/M2の水分負荷がみられ, 2日目には水分負荷はなくなる. この水分負荷量と細胞外液の増加量はほぼ一致している. また術後循環血液量は減少しており, これは循環血漿量の減少に基因していると結論された. これら循環血液量の変動は, 潅流終了後30時間には回復の傾向を示し, 7日目にはほぼ術前値に回復している. これらの点から, 体内に負荷された水分は, 細胞外液, とくに組織間液に移行しているものと推測される. 溶質排泄能から腎機能を検討してみると, 各群とも血清尿素窒素, 血清滲透圧はいずれも正常範囲内の変動にとどまつているのに対し, 尿中尿素窒素, 尿滲透圧は, 潅流終了後22~30時間で, 輸液量500ml/M2, 750ml/M2群に比べ, 1000ml/M2群では低値を示している(P<0.05). 代謝産物としての溶質排泄を行なうための輸液量として1000ml/M2/dayでは多すぎ, 500ml/M2/dayないしは750ml/M2/dayが良いと思われるが口渇などの患者の訴えを考慮すると, 実際には750ml/M2/dayが適量と思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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