アブストラクト(21巻5号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 生体弁置換の遠隔成績
Subtitle :
Authors : 太田里美, 田辺達三, 久保良彦, 横田旻, 橋本正人, 町田荘一郎, 安住斗士夫, 清田典宏, 高橋透, 安田慶秀, 松波巳, 田村堅吾, 米田吉治, 高野雅巳, 加藤紘之, 林田紀和, 池田浩之, 川端真, 杉江三郎
Authors(kana) :
Organization : 北海道大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 21
Number : 5
Page : 499-510
Year/Month : 1973 / 5
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : われわれは1965年以来, 同種半月弁による雑犬の房室弁への置換実験を行なつてき, 独自にsupport frameの使用を考えつくにおよび, その開発を行なうとともに, 各方面からの生体弁置換の実験的検討, また臨床応用を行なつてきた. 臨床的には同種BPL, 弁11例, 異種エタノール弁6例, 同種新鮮弁(4℃Hanks液保存弁)2例の計19例に用いたが, 今回は手術死亡を除いた14例につき遠隔成績の追求, 弁機能, 血行動態の検討, また死亡あるいは再手術例には置換弁の長期の病理学的変化を検討した. この結果, 異種エタノール弁では置換弁の変化がもつとも早く, 強く招来され, 弁破綻を来す率も高いのに反し, 同種新鮮弁では入手の困難性はあるにせよ, もつとも安定した弁機能, 血行動態がえられ, 使用2例では逆流の発生もなく, 26ヵ月, 14ヵ月後の現在も元気に社会復帰している. 同種BPL弁の弁機能保持, 弁破綻発生率は異種エタノール弁よりは良好であるが, 置換弁の組織変化からみても徐々に退行変性を招来しつつあるものと思えた. 雑犬への弁置換実験は房室弁86例, 肺動脈弁22例に行ない, 種々の処理法の弁, support frameのあるものないものを用い, 長期生存犬の弁機能の観察とともに置換弁の病理変化を検討したが, 房室弁ではsupport frameを使用したものが, 使用しない例に比し成績がよく, 異種よりは同種, non-viableよりはviable valveの弁機能保持がよく, 病理変化も少なかつた. しかし自家広筋膜弁は短時日中に膨化, 断裂を来たす例もあり, やや日時を経たものでは肥厚, 硬化をみる例が多かつた. 以上の成績をもとに弁保存とくにviabilityの保存と耐久性の関連につき考察を加え, さらにviabilityの保存法, support frame使用の長短などにつき検討を行なつた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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