アブストラクト(21巻5号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁置換術の肺合併症-予知のための術前疑診基準設定の試み-
Subtitle :
Authors : 原智次, 中路進, 牧田俊彦, 大賀興一, 田部志郎, 中村昭光, 白方秀二, 佐々木義孝, 宇賀四郎, 能見伸八郎, 渡部高久, 橋本勇
Authors(kana) :
Organization : 京都府立医科大学第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 21
Number : 5
Page : 511-523
Year/Month : 1973 / 5
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁置換術の直後に発生する呼吸不全を術前に予知するため, 術前に行なつたSpirometryの結果を21項目にわたり検討した. その結果, 呼吸不全群といわゆる経過良好群との間に, あるものは全く分布に一定の傾向を示さないが, 他のあるものは両者の間に, かなり分布の傾向に数量的な差のあることが判明した. すなわち, 特定の分布傾向が著しいものとしては吸気予備量, 肺活量(比肺活量), 残気率, 深吸気量, 換気予備量があげられる. 以上の分画ほどではないが, 同様の傾向を示すものとしては, 呼気予備量, 全肺気量, 分時最大換気量およびその比, 換気予備率, 1秒量などがある. これに対し, 1回換気量, 残気量, 機能的残気量, 呼吸数, 分時換気量, 1秒率, Air Trapping, He Mixing Timeなどの諸量は, 両群の間に特定の分布傾向を認め難い. われわれはかかる測定事実に基づき, 弁置換術直後の呼吸不全の発生を, 術前に予知するためのCriteriaの設定を試みた. それは次の通りである. 呼吸不全予想表 1. 呼気予備量<1200ml 2. 深呼吸量<1600ml 3. 肺活量<2200ml(%肺活量<70%) 4. 残気率>37% 5. 換気予備量<40l/min とくに最近, 僧帽弁疾患に関する肺の血流分布の検討が盛んなあまり, 肺におけるガス交換能力を評価する目的では, Spirametryはやや軽んぜられる一般的傾向にあるようであるが, 少なくとも僧帽弁疾患にあつては, その血行動態的特異性のゆえに, 術前検査としての臨床的意義になおすて難い一面を有するものと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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