アブストラクト(22巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺循環および左室機能からみたStarr-Edwards人工弁各型の比較検討
Subtitle :
Authors : 昆晃, 宮本忍
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 22
Number : 1
Page : 48-58
Year/Month : 1974 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁疾患にたいする人工弁置換術は, 最も普及した治療手段として画期的な役割を果している. 著者は現在用いられている人工弁中で最も安定した人工弁とされているStarr-Edwards Ball弁, Model6120, 6300, および6310を用いて僧帽弁単弁置換を日本大学医学部第2外科学教室で行なつた症例中, 術前後に血行力学的検索を行ない得た症例19例について検討し, Stars-Edwards Ball弁各Modelの臨床的評価, および, 重症僧帽弁疾患にたいする適応の検討を行なつた. その結果, 肺循環では, 肺動脈収縮期圧, 運動負荷時肺動脈収縮期圧, 肺動脈楔入圧, 全肺血管抵抗の各指標は術後改善を認めるが, その改善度はModel6300群が3群中最も悪く, Model6310群が最も良好であつた. NYHAの機能的分類による重症度の変化は, Model6300群で術後なおIII度を示した症例が認められたが, Model6120, 6310群では全例II度以下であつた. 左心機能では, 左室容量は3群ともに術後減少傾向を示すが, その減少度はModel6300群が最も少なかつた, また駆出率は3群ともに60%以上であつた. 術後の有効弁口面積は, Model6120群の平均2.8cm2, Model6300群の平均1.7cm2, Model6310群の平均2.95cm2で, Model6310群が最も広く, Model6300が最も狭まかつた. 以上Starr-Edwards Ball弁, Model6120, 6300, 6310の弁置換前後における血行力学的検索から, それぞれのModelを比較検討を行ない, Model6310が3群中最も安定した良好な成績を示した. この成績から, Starr-Edwards Ball弁, 6310は重症僧帽弁疾患にも十分使用しうるものと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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