Authors : |
香川輝正*, 野々山明*, 板野竜光*, 中路忠司*, 笠原憲二*, 茂幾俊武*, 酒井章**, 伊東政敏***, 塩田登志也** |
Abstract : |
先天性肺動静脈瘻は比較的稀とはいえ, 肺循環系血管奇型の代表的存在としてひろく認識されており, 近年, 診断法とくに心血管造影法の普及に伴つて, 報告例数の増加をみつつある疾患である. 本症の臨床および病理形態学に関してはGiampalmo1)(1950), Bosher2)(1957), Moyer3)(1962), またわが国では吉村ら4)(1967)がそれぞれ自験ならびに文献記載例にもとずいて詳細な分析を加えているが, 発生学的には肺のcommon capillary plexusよりの動静脈分化過程における異常とみなされ, 多くは肺循環末梢領域のcavernous hemangiomaようの形態を呈するとされている. また, 臨床的に本症のカテゴリーに属するものとして稀ながら, 中枢側の異常肺動脈が静脈瘤様に拡張した肺静脈左房接合部を介して左房に流入する異型(肺動脈左房交通症)があり, Friedlich5)が第1例を記載して以来, 海外において10数例, わが国においても著者らの自験例6)(症例1)をはじめとして小田ら7), 永井ら8)の計3例の報告がある. |