アブストラクト(22巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁狭窄症の外科治療上における僧帽弁の可動性の意義-左房造影法を中心として-
Subtitle :
Authors : 今井康博, 久保克行
Authors(kana) :
Organization : 三重大学医学部胸部外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 22
Number : 2
Page : 96-109
Year/Month : 1974 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁狭窄症の外科治療に当つては, その手術方式の決定に際して, 僧帽弁の可動性を的確に診断することが極めて重要である. 左房造影法によれば, 弁の可動性を直接観察できるので, 著者はこれを用いて, 収縮期と拡張期における僧帽弁の移動距離を計測し, この数値を弁の可動性を表わす指標Valve Pliability Index(以後VPIと略す)と名づけ, これにより弁の可動性を数量的に表現して, 手術方式の決定上における意義を検討した. まずVPIに関して死体僧帽弁8個を用いた実験的研究を行ない, 左房圧, 心拍出量および弁口面積のVPIにおよぼす影響を検討した結果, 左房圧はVPIに対して一定の影響を与えるが, 心拍出量および弁口面積は一定の左房圧の下ではVPIに対してごくわずかしか影響しないことが認められている. つぎに弁置換術の適応をVPIの観点から実験的に検討したところ, 左房圧が25mmHg以上でVPIが10以下を示すものは, 弁置換術の適応であることが認められている. つぎに, 34例の僧帽弁狭窄症を弁の可動性の程度により, 左房圧が20mmHg以下でVPIが15以上を示す, 弁の可動性の極めてよいI群, 左房圧が25mmHg以上でVPIが10以下を示す, 弁の可動性の極めて悪いIII群, そしてこのどちらにも属さないII群と分類し, この分類と手術成績との関係について検討した結果, I群は閉鎖的交連切開術が, II群は直視下交連切開術が, そしてIII群は人工弁置換術が手術成績が良好で, それぞれの手術方式の適応として考えることができる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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