アブストラクト(22巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心内膜床欠損症の僧帽弁閉鎖不全逆流度評価に関する研究(僧帽弁亀裂処理方法の検討も含めて)
Subtitle : 原著
Authors : 岡村健二, 今野草二
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 22
Number : 6
Page : 576-587
Year/Month : 1974 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 従来, 評価が非常にむづかしいとされていた心内膜床欠損症に合併した僧帽弁閉鎖不全(MI)の左室造影術による逆流度判定基準を提示し, 臨床像からその妥当性について検討を加えた. さらに, 弁修復術後遠隔成績から各逆流度に応じた弁修復方法について検討を加えた. 逆流度は, 肺動脈幹および両心房と上行大動脈との前後像における造影濃度の比較から, つぎのとうりI~IV度に分類した. I度:左房または右房に向かう逆流ジェットが認められるが, 心房全体の造影のみられないもの. II度:両心房がほぼ全体的に造影されているが, 肺動脈幹の造影は軽度もしくは殆どみられないもの. III度:両心房全体および肺動脈幹が可成り濃く造影されているが, 上行大動脈より明らかにうすいもの. IV度:両心房ならびに肺動脈幹が上行大動とほぼ同じくらいの濃度に造影されているもの. III度以上では, 殆どに左房拡大がみられた. 心胸郭比や左房圧V波はIV度の症例で著しく増加していたが, III度以下ではあまり相関がみられなかった. 聴診ではIII度以上の症例で3/6~4/6の心尖部収縮期逆流性雑音が認められた. II度以下では大部分が2/6~3/6, 以下に分布していた. 各群の平均的臨床像は比較的よく心血管造影による評価と相関していた. 僧帽弁亀裂の処理方法はつぎのとうりである. 1)無処置のもの, 2)基部に1~2針縫合を加えたもの, 3)亀裂先端まで縫合したもの, 4)心膜パッチを縫着したもの, 5)人工弁置換を行ったもの. II度以下の場合, 1), 2)の方法で大部分に明らかな臨床像の改善がみられたが, III度以上では術後溶血性貧血や心不全で苦しんだものが多く, 何らかの弁膜欠損部に対する補填手術の必要性が痛感された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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