アブストラクト(22巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 後天性心疾患手術後における低心拍出量症候群に関する研究
Subtitle : 特掲
Authors : 宮本晃, 宮本忍
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 22
Number : 8
Page : 834-846
Year/Month : 1974 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 本研究は昭和48年4月から49年3月に至る1ヵ年間に手術を施行した17例, すなわち冠動脈疾患10例, 僧帽弁疾患7例について, 手術直後から2~3日に至るまでSwan-Ganzのflow directed thermodilution catheter(7F)を肺動脈主幹部に挿入し肺動脈圧および中心静脈圧を記録し, またこのcatheterとcardiac output computerを用いて心拍出量を測定し, 開心術後の低心拍出量症候群の病態生理について検討したものである. 検査項目は, 分時心拍出量, 心係数, 1回心拍出量, 血圧, 脈拍数, 肺動脈平均圧, 中心静脈圧, 尿量, 全末梢血管抵抗係数, 全肺血管抵抗係数である. 手術を受けた心疾患患者の分時心拍出量・心係数・一回心拍出量はほぼ同様の推移を示し, 術後いずれも減少するが, 13~18時間頃から増加を示した. 他方, 尿量は術後急激に減少し, 13~18時間後に最低値に達したが, 19~24時間後は増加傾向を示した. 次に, 疾患別による経時的変化は, 心係数および一回心拍出量について冠動脈疾患(C)群と僧帽弁疾患(M)群は逆の傾向を示し, 術直後からC群は減少, M群では増加している. 尿量については, 術後C群, M群とともに減少するが, 10~18時間で両者とも最低値に達し, 以後は増加する傾向を示した, 代表的症例についてみると, 大動脈冠動脈バイパス手術を行つた症例9において術後1.3L/min/M2という高度の心係数低下を認め, 低心拍出量症候群の発生をみたが24時間後には上昇傾向を示し, 2~3日後には2.0L/min/M2となり危機を脱した. これと平行して尿量の増加をみたことは印象的であつた. したがつて, 開心術後の低心拍出量症候群の診断にあたつては, 心係数の減少のみにとらわれることなく, これを経時的に測定することが必要であり, 尿量の検査もまたその補助的手段として有効である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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