アブストラクト(22巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 膜型人工肺に関する研究-とくに間歇加圧方式による効果とその影響について-
Subtitle :
Authors : 土肥俊之, 砂田輝武
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 22
Number : 9
Page : 904-917
Year/Month : 1974 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : よりすぐれた膜型人工肺の開発のため, 膜および機構上より考案を加え, 試作実験を繰り返しているが, さらに酸素加効率改善のための補助機構として, ガス排出口に著者の考案した間歇加圧装置を装着しガス層に間歇的に圧を加えると, 膜・血液に拍動が加わり飛躍的な酸素加効率の上昇をみた. したがつて間歇加圧のガス交換能への効果とその影響をみるため, 膜と機構の点より検討を加えた. 膜は3種類のシリコン加工膜を比較したが, 同じ厚さのシリコン膜でも膜の性質が, その膜の支持機構や間歇加圧による拍動運動に適合しなければ, 良い酸素加効率は得られない. 機構の点からは間歇加圧型垂直式肺と間歇加圧型多管式肺を試作し, 種々の条件下で実験, 比較した. 間歇加圧型垂直式膜型肺では, その支持機構とあいまつて, 間歇加圧により膜, 血液が拍動的となり, さらに血液が垂直に下から上に流れるため血液重量の影響でto and fro現象が起り血液膜接触面積が増大し飛躍的に酸素加効率の上昇をみた. 多管式肺では酸素加効率の点において, 間歇加圧の利点が, その構造上十分生かされず間歇加圧方式の適応に限界がある. また炭酸ガスの透過性は, シリコン膜で行うかぎり酸素圧や間歇加圧回数に関係なく経時的に蓄積することは明らかで透過膜に関する今後の課題である. 間歇加圧による膜面への拍動は, いずれの型の肺においても, plasm stagnantによる境界層形成阻止に十分役立ち, 潅流時間に伴うガス交換率の低下を軽減させる. 動物を用いた膜型肺とローラーポンプによる体外循環での組織学的検索を行い, 膜型肺が血液の変性におよぼす影響が極めて少ないことを証明した. 間歇加圧型垂直式膜型肺は, 乳幼児の体外循環, 呼吸補助循環として十分使用できるが, この方法でさらに小型簡易化がのぞまれ, できれば支持機構を含めてのdisposableの製品として性能の安定をみたい.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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