アブストラクト(22巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心臓手術後の心筋電極縫着法と刺激閾値の変動
Subtitle :
Authors : 横山正義, 保浦賢三, 今野草二
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 22
Number : 9
Page : 918-922
Year/Month : 1974 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心臓手術後の不整脈の治療にペーシングを施行する場合が多くなつているが, ペーシングのために一般にはFlexon(R)心筋電極が使用されている. この電極縫着後に閾値を測定すると経時的に閾値が著明に上昇する例がある. この原因を究明するために20例の手術後患者の閾値変動を検討した. 20例を第I群の10例と第II群の10例にわけた. 第I群ではFlexon(R)心筋電極を普通に心筋に縫着した. 第II群では電極のはだかの部すなわちTeflon coatingされてない部が心筋外に露出しないように注意して電極先端部を心筋に縫着した. 手術後第1病日の閾値はI群では2.2±0.9mA(刺激電流幅は1.8msec±0.2msec)でありII群では1.3±0.3mAであつた. すなわち, I群の閾値はII群の閾値より高いけれども, その差は大きくない. ところが, 手術後第7病日の閾値はI群では7.9±4.2mAであるのにII群では2.9±0.6mAであつた.すなわち, I群では閾値が著明に上昇したのにII群の閾値は殆ど上昇しないのである. 手術後第14病日の閾値はI群で9.6±4.6mA, II群で3.2±0.6mAであつた. このようにII群の閾値は軽度の上昇のみであるため, I群の閾値は手術後3~4日目から急上昇する. これは心筋電極のTeflon coverのない部が心筋外にもでているため, その部が周囲組織てゆ着するにつれ, 刺激電流の一部が, 直接, 心膜, 肺, 縦隔などの方向に漏洩するためと考えられる. したがつて, 手術後の閾値上昇を防ぐためには心筋電極先端のはだかの線が心筋外にでないように注意して縫着すべきである. II群の10例のうち, 5例では心筋に浅くに他の5例では心筋に深く電極を縫着してみたが, この両者間に閾値の差はなかつた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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