Abstract : |
Ebstein病の根治手術としては, 三尖弁挙上転位手術1)2)と三尖弁置換手術3)の2方法が行われているが, その術式の選択は個々の症例の奇形の程度によつて決定されるべきと考えられる. とくに弁尖の形成不全が著明で, 三尖弁の機能障害の強い症例に対しては, より根治性の高い三尖弁置換手術が主流となつている4)5). 本症に対する弁置換手術は1963年Barnad3)による初成功以来, 報告例はすでに100例を越えているが, その成績は, 手術死亡率25%4)と未だ満足できるものではなく, 移植弁の種類の選択, 移植手技および心房化右室の縫縮の是否など未解決な問題も残されている. 最近われわれは発作性頻拍とWPW症候群を伴つたEbstein奇形の1症例に対し, 移植弁としては, leaflet valveで耐久性の点でも元来の生体弁に較べ期待のもてる6)7)8)Carpentier-Edwards mounted Xenograftを使用し, また移植手技として, 移植弁の一部を心房化右室の中央に縫着することにより, その縮小をはかるという新しい試みを行い, 良好な結果を得たので, 若干の考察を加えて報告する. |