Authors : |
石沢栄次*, 堀内藤吾*, 横山温*, 田所正路*, 加畑治*, 伊藤孝*, 鈴木康之*, 佐藤清春*, 佐藤哲雄**, 加納一毅** |
Abstract : |
全肺静脈還流異常症は比較的稀れな先天性心疾患であるがその80%は生後1年以内に死亡する1)といわれ極めて重篤な心奇形である. 本症の外科治療の試みはMuller(1951年)2)に始まるが, Burroughs(1956年)ら3)により人工心肺が応用されるまでは極く少数例を除いて部分的修復にとどまり, かつその成績も不良であつた. しかし人工心肺の導入以来, とくにCooley(1957年)4)らによる手術手技の改善により著明な成績の向上がみられているが, 年長児でのいちじるしい成績の向上にもかかわらず1才未満, とくに6ヵ月未満症例での手術成績は少数の施設5)6)を除いては極めて不満足な状態である. われわれは最近, 生後3ヵ月で著明な心不全と呼吸不全を主訴として来院した症例でballoon atrioseptostomy(以下BASと略す)と内科的治療7)8)により臨床症状と発育のいちじるしい改善をみ, さらに9ヵ月後, バイパス超低体温法により根治手術に成功した. |