アブストラクト(22巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心室中隔欠損症の部位診断に関する研究
Subtitle :
Authors : 団野迪昭, 曲直部寿夫
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 22
Number : 10
Page : 1025-1038
Year/Month : 1974 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 最近心室中隔欠損症(VSD)に対する治療体系は確立された観があるが, 欠損孔の部位によつては必ずしも経過および予後は同一ではない. そのためよりきめ細かい手術適応の決定のために, さらには手術手技上においても術前に欠損孔の部位を決定する事は重要である. 著者は阪大第1外科で根治手術を行つたVSD212例を対象とし, これをKirklinらの分類によりI型37例, II型147例, III型28例に分ち, 聴診所見, 心カテーテル検査成績, 心電図などについて検討を行いVSDの部位診断に有用な以下の知見を得た. 収縮期雑音の最強点についてみるとI型ではII型, III型に比べてやや頭側(胸骨左縁第2肋間)で聴取するものが多く認められた. 心カテーテル検査においてsupracristal VSD(I型)では右室流出路, 肺動脈において酸素飽和度の上昇がみられたが, infracristal VSD(II型, III型)では肺動脈においては殆どその上昇を示さず, すでに右室流入路において上昇を示した. 心電図についてみるとII型, III型におけるQRS平均気軸は広い範囲に分布するが, I型では大部分が正常範囲にあつた. 右室の容積負荷を示すと考えられる胸部誘導v1におけるRSR'patternの出現頻度はIII型に高く, I型では非常に低い. この事はI型においては右室に関して容積負荷になつていない事を示唆するものである. 標準肢第II, 第II誘導におけるS波はinfracrhtal VSDよりもsupracristal VSDにおける方が浅く統計学的にも有意の差を認めた. その傾向は正常または低肺血管抵抗群(肺/体血管抵抗比<0.15)において著明であつた. 以上の成績から術前心室中隔欠損症の部位診断は可能であると考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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