アブストラクト(22巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 実験的肺移植における移植肺保存の許容時間延長に関する研究
Subtitle :
Authors : 小原美樹夫, 瀬田孝一
Authors(kana) :
Organization : 岩手医科大学医学部外科学第1講座
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 22
Number : 11
Page : 1059-1070
Year/Month : 1974 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺移植の臨床応用に際しLiving donor肺の入手が困難なためCadaver肺の利用が考えられる. このCadaver肺を移植可能なViabilityを保たしめ保存するには最小6時間が必要である. しかし多くの報告者によれば4時間が限界であるとされている. そこで著者はこの4時間の保存限界を打破する目的でつぎのような実験を行つた. 保存方法は従来教室で行つている4℃冷却潅流保存を行つた. γ-amino-β-hydroxybutyric acid trimethylbetaine加生理的食塩水および低分子デキストラン溶液の潅流液を作成し, これら溶液にて摘出肺を潅流し経時的にPulmonary surfactantを測定した. このγ-amino-β-hydroxybutyric acid trimethylbetaineの添加では肺表面活性の低下に対する十分な抑制効果は得られなかつた. つぎに肺表面活性物質の前駆物質であるCDP-Cholineの移植肺保存延長に対する有効性を考え, 移植肺摘出前のDonor犬へ200mgのCDP-Cholineを投与し潅流保存を行い, 経時的にPulmonary surfactantの測定および組織学的な検索を行つた. 7時間保存でも十分なViabilityを有する成績を得たので, このように処置した7時間保存肺の同種肺移植を行い, 従来のCDP-Choline非投与2~4時間保存群に劣らない移植成績を得た. Doner犬へCDP-Cholineを投与し, 移植肺を摘出, 低分子デキストラン溶液で冷却潅流保存を行うことにより, 保存許容限界時間を4時間より7時間に延長することが可能であると考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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