アブストラクト(22巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺表面活性の研究(その2)心臓外科と肺表面活性
Subtitle :
Authors : 椋棒有子, 岩井誠三
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医部学麻酔学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 22
Number : 11
Page : 1071-1081
Year/Month : 1974 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺がsurfactantの合成をはじめとするmetabolic organとしての概念が確立され, surfactantに関する臨床的研究は著明な進歩をとげた. 一方, 肺循環障害をともなう疾患として心疾患はsurfactantとの関連が極めて深いと思われるが, 心疾患それ自体との関連を追求した報告は非常に少なく, また統一した見解を得ていない. 本研究では, 第一編の基礎的研究の成績を基にして, 心疾患30例の肺表面活性を測定し, さらに犬を用いた体外循環実験をも合せてPostperfusion lung syndromeに関する検討を行つた. 心疾患例においては, 全般的に肺表面活性の低下がみられ, とくに肺血流減少例においては著明な低下を示したが, 肺血流増加例の中にもいちじるしい肺表面活性の低下を示すものがあつた. 体外循環による肺表面活性の影響として, 犬を用いた実験では, 体外循環2時間後では前に比し有意な低下を示し, とりわけ潅流側にanoxic gasが負荷された時には, いちじるしい低下がみられた. 体外循環を用いた開心術後の症例で, 肺表面活性を測定し得た12例中, Postperfusioan lung syndromeと思われた1例を紹介したが, 体外循環を受けていない症例の中にも, それと類似の病像を呈した症例があつた. 以上よりPostperfusion lung syndromeの発生に関しては, 体外循環に起因して肺表面活性の低下をもたらす諸因子の他に, 術前より存在する肺表面活性の低下および術後の呼吸循環動態に基づいて肺表面活性に変化を起す諸因子の三者のかね合いの上にたつて考えねばならない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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