アブストラクト(22巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環に関連する血液凝固系線溶系機能の変動
Subtitle :
Authors : 田口善作, 和田寿郎
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学第2外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 22
Number : 11
Page : 1095-1111
Year/Month : 1974 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心臓外科手術の発達により手術適応は拡大し, 長時間体外循環の頻度も多くなつた. しかし体外循環は非生理的なものであるため生体への諸種の影響とくに血液自体への傷害がつよく, 時に異常出血がみられ, これが手術予後を左右し, 術後管理を煩雑することから, この対策は極めて重要であると考える. そこで著者は体外循環手術の32例について潅流前後の血液凝固系線溶系機能検査を経時的に行い, 抗線溶剤, 人工肺, 潅流時間, 稀釈率の与える影響を検討し, つぎの結論を得た. 1. 全症例は潅流後凝固系機能は低下し, 逆に線溶系機能は著明に亢進する. そしてこの変化はヘパリン中和後120分で前値又は正常値に戻る. 抗線溶剤Trasylolによる凝固系機能への影響はみられないが, 線溶系機能に対してはその10000単位/kg分割投与群で充分な線溶亢進抑制と出血量の減少をみた. 2. 人工肺の種類(回転円板型と気泡型)による凝固系線溶系機能への影響はない. 3. 30分以下潅流群は他の潅流群に比べて凝固系線溶系機能への影響が少なく, 出血量も少ない. これに反して特に61分以上潅流群は線溶亢進もつよく, 出血量も多い傾向にある. 4. 稀釈率による凝固系線溶系機能への影響はない. したがつて, 複雑な凝固系線溶系機能の変動を示す体外循環後の出血には線溶亢進も重要な因子となつており, 完全な止血操作に加えて充分な線溶亢進抑制を図ることが肝要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
このページの一番上へ