アブストラクト(22巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環希釈液の検討 糖および電解質の変動について
Subtitle :
Authors : 菊池洋子, 藤田昌雄
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学麻酔学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 22
Number : 11
Page : 1112-1126
Year/Month : 1974 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 希釈体外循環における潅流液中のplasma expanderとしては, 5%グルコースが一般に用いられているが, 一方代謝系より観察するとインスリンが動員されその結果カリウムが細胞内に移行し, 術中術後の低カリウム血症および血糖値の上昇などの問題が残されている. 著者は, 近年開発された解糖系に関与しないマルトースを5%グルコースの代用として用い, 潅流中における血中および尿中の糖の消長, インスリンおよび電解質(とくにカリウム)の変動について, 5%グルコース群を対照として比較検討した. 血中グルコース値の消長は, 対照群に比し非常にゆるやかであつた. マルトース値は, 減衰曲線を示し潅流液中より, すみやかに消失している. カリウム値は対照群では, 回転中カリウムの投与が行われたために, カリウム値を一定に維持できた. 一方マルトース群では10例全例において回転中, 術後4時間までの追求では, カリウムの補正をまつたく必要としなかつた. インスリン値は, 対照群に比し安定した値を示しているが, 両群において有意差を認めないということは, 体外循環という非生理的条件下でのstress, catecholamineの分泌などの影響が考えられ, 今後の課題と考える. 尿量は両者間に有意差をもつてマルトース群が多かつた. なお潅流液中の浸透圧は両者間に有意差は認められなかつた. 総合的に両者を比較した場合, 明らかにマルトース使用群は, 循環代謝系に急激な変動をもたらさず, すぐれた希釈液であるとの成績を得た.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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