Abstract : |
右心室の流入側に発達した異常筋束により, その内腔をhigh pressure chamberとlow pressure chamberとに二分する奇型をTsifutisらがTwo-Chambered Right Ventricleと名づけて3例の手術治験例を報告してから224例の報告がみられる. 東大胸部外科でも23例の手術を行つた. この報告のなかには右心室内で圧差を認めない症例もあり, 主として右心室内圧差のある症例について検討を行つた. 圧差は収縮期圧で7ないし188mmHgであり, 年令の増加とともに圧差も上昇し狭窄が高度となる傾向がみられるが, 幼若児では症状も軽く診断がつけにくい場合もある. 本症は単独でみられることは少なく, 82.2%に心室中隔欠損を合併し, 4.4%に肺動脈弁狭窄の合併がみられ, そのほか複雑な心奇形に合併している報告もみられる. 症状は合併奇形により異なり, 16例にチアノーゼがみられたが, 非チアノーゼ例では右心室流入側収縮期圧が121mmHg以上の症例では重篤な症状を示すものが多いが, 80mmHg以下では42.8%が無症状で心雑音のみを気付かれている. |