アブストラクト(22巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左房内血栓を伴う僧帽弁膜症の診断と外科治療
Subtitle :
Authors : 清水健, 弥政洋太郎, 阿部稔雄, 石原智嘉, 高橋虎男, 田近徹也, 村瀬允也, 浅井資弘, 竹中茂晴, 田本杲司, 田中稔, 彦坂博, 平松隼夫, 吉岡研二, 小沢勝男, 津田斉, 小林正治, 大宮孝, 宮田義彌, 小林淳剛
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 22
Number : 12
Page : 1147-1157
Year/Month : 1974 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1957年より1974年4月までに僧帽弁膜疾患に対する手術総数は265例である. このうち左房内血栓のあつた症例は用指交連切開術89例中8例, 経心室弁口開大器による交連切開術125例中5例, 開心交連切開術22例中10例であり, 僧帽弁置換術29例中には1例もなく合計23例であつた. これは全体の8.6%に相当した. 心房細動を有し僧帽弁または左房壁に石灰化の存在をレ線写真上で認めた症例や既往歴に栓塞があつた症例には左房内血栓を有するものが多い. 開心交連切開術を行つた10例の中で左房造影を行つたものは7例で, 6例について左房造影所見と手術時血栓の存在場所と血栓の大きさを対比して検討した. 心耳に血栓の存在する症例は心耳に陰影欠損を認めた. 左房腔内の血栓の存在部位は心房底部で肺静脈開口部付近がほとんどであつた. 10g以上の血栓は注意すれば左房造影で発見できると考えられる. 僧帽弁膜症の中で左房内血栓を有するものは全例僧帽弁狭窄症であつた. 僧帽弁狭窄症の患者は全例左房造影を行うべきである. 左房内血栓を有する僧帽弁膜症は開心術を選ばなければならない. 左房腔へは経心房中隔で到達すべきである, 心房中隔に左房血栓の存在したものはわれわれの症例には無かつた. 左房腔に達したら静かに左房内血液を吸引してから肺静脈開口部と, 僧帽弁口にガーゼをつめて血栓がこれらに落込むのを防ぐ. 血栓が十分にとりのぞかれたらガーゼをとりのぞき, 交連切開術または弁形成術を行う. 開心術中は大動脈の遮断はしないで, 電気細動器で心室を細動にしておく. 体外循環回路内にmicrofilterを入れて遊離血栓が体循環に入るのを防ぐ.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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