| Authors ： |
大橋博和*,**, 川島康生*, 宮本巍*,**, 堀口泰範*,**, 団野迪昭*, 高野久輝*, 宗田滋夫*, 小栗顕二*,***, 曲直部寿夫* |
| Abstract ： |
最近われわれは, 交通外傷後に発症した大動脈弁破裂兼心室中隔破裂の1症例を経験し, これを開心術により治癒せしめた. 症例は26才男子で, 交通事故で胸部を強打し, 約4週間後に心雑音出現, 2ヵ月後より心不全状態となつた. 以後7年間の内科的治療を経て, 昭和47年6月27日開心術が施行された. 大動脈弁には, 右冠動脈尖・無冠動脈尖に紡錘形の大きな穿孔が存在しており, これを#23Bjork-Shiley tiltiag disc valveにて置換した. 心室中隔膜様部には, 2×3.5cmの楕円形の欠損孔が存在し, さらにこの欠損孔を通して三尖弁中隔尖が左室腔に瘤様に突出していた. この欠損孔はTeflon patchにて閉鎖した. 術後経過は極めて順調で, 術後1年10ヵ月現在, 日常生活に復帰している. 非穿通性外傷に起因して大動脈弁破裂および心室中隔破裂の両者を合併した症例は, われわれの調べえた文献の範囲内では, Leonaldによる1例の報告を見るのみであり, さらに, 根治術施行例は本例が最初であり, 極めて稀なものであると考えられる. |
