アブストラクト(23巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心内膜床欠損症の手術治療
Subtitle :
Authors : 江口昭治*, 寺島雅範*, 松沢秀郎*, 春谷重孝*, 大谷信一*, 吉野武*, 浅野献一*, 田中誠**
Authors(kana) :
Organization : *新潟大学外科学教室第2講座, **長岡市立川病院心臓血圧センター外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 1
Page : 19-28
Year/Month : 1975 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心内膜床欠損症28例(完全型4例)に対し根治手術を施行した. 手術死亡は不完全型では3例で肺水腫・心不全で失い, それぞれ僧帽弁裂隙放置例, 裂隙心膜パッチ不適正縫着例, ボール弁置換例であつた. 完全型死亡は2例であつたがC型の1例にRastelli手術を施行し著効をおさめた. 遠隔期では増悪せる僧帽弁閉鎖不全(MI)により1例死亡し3例に僧帽弁置換(MVR)を要した. 僧帽弁裂隙の処置に関して逆流軽度の場合はその基部のみ1~2針縫合し, 中等度以上では逆流テストを行いながら裂隙を完全に閉鎖するようにした. この際マットレス縫合は不適当と考えられた. 手術成績にはMIの程度と処置の適否, 完全型であるかどうかが大きく影響し, またNYHA機能分類にしたがつた術前重症度, 術前心胸郭比と関係が認められた. 閉胸前の左房圧曲線の分析でv波-c波の値10mmHg以上では経過不良であつた. 本症に対するMVR8例(生存3例)の分析では本症の解剖学的特性よりlow profileの人工弁の使用, 心室中隔延長術が左室流出路狭窄防止, 左室容量拡大の観点より必要と考えられた. 2例において僧帽弁尖利用による心室中隔延長およびデイスク弁による弁置換に成功したが刺激伝導系傷害防止の観点より優れた方法と思われた. 本症の合併異常として9例に単心房を認め, そのほか二次孔欠損, 肺静脈還流異常, 大静脈の異常などであつた. 単心房例に合併異常の頻度が極めて高率で, なかでも肺静脈還流異常が5例に合併し中隔形成にあたり注意を要した. 3例に左側心房に開口する左上大静脈遺残を合併し2例に結紮, 1例に心膜ductによる右房還流をはかつた. 冠状静脈洞の異常として2例に開口部が左に偏位し中隔形成にあたり左心房に導入した. 2例に冠状静脈洞が欠除し1例に完全房室ブロックを来したが, かかる解剖学的目標のない症例では刺激伝導系に関してとくに注意を要すると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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