アブストラクト(23巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心臓マッサージマシンの研究-Diastolic augmentation効果を加味したマッサージマシンとタイムサイクル型人工呼吸器について-
Subtitle :
Authors : 大本恭平, 今野草二
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 1
Page : 29-48
Year/Month : 1975 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Kouwenhovenら1)が提唱した閉胸式心マッサージ法は, 今日, 緊急心蘇生法に広く応用されており, また, それを機械化したマッサージ・マシンが普及しているが, その効果は必ずしも良いとはいえず, とくに, 虚血性心疾患に対しては, 著しく不良である4)31). 著者は, 閉胸式心マッサージ法による蘇生率が低い理由を考究し, それらの改善によつて蘇生効果の向上を計り, また, 近年, 急増している急性心筋硬塞症発症後に伴いやすい重症不整脈, 心室細動, 房室ブロックなどによる循環不全あるいは停止時に, 病院内, 外を問わず, つぎに必要とされる除細動, 緊急透視下体外ペーシングなどの操作を含むすべての臨床処置をとるに至るまでの時間を考慮し, つぎに述べる三項目を目的とした研究を行つた. (1)有効な冠, 頚循環の維持, (2)蘇生可能時間帯(Survival time limit)の延長化, (3)蘇生効果の向上, (1)に対し, 従来行われて来た用手閉胸式心マッサージを機械化した心マッサージ機と腹部の間歇的圧迫操作によるDiastolic augmentation効果を加味した第2のマッサージ機との連動によるマッサージ法をカウンター・マッサージ(Counter massage-C.M.)法と名付け, 純流体素子を用い, 小型軽量化したカウンター・マッサージ機の開発を行つた. この方法によるマッサージ中の冠, 頚流量は著しく改善される. (2)に対しては, 従来の閉胸式心マッサージ法による蘇生可能時間帯が10数分前後で極めて短く, とくに, 急性心筋硬塞症に伴つた重症不整脈, 心室細動による循環停止患者に対し, 除細動, 体外ペーシングなどの臨床処置を必要とする場合, これらの操作を短時間内に遂行することは不可能に近く, 蘇生可能範囲内におけるマッサージ時間の延長化がどの程度まで許されるかについて研究した. さらに, (3)の蘇生効果を上げるため, 必要とする有効な換気を行えうるタイムサイクル型圧限定式人工呼吸器(Time cycled pressure limitted respirator)の開発も同時に行つた. この両者の併用による実地臨床応用を目的としたマッサージ機は, 総重量20kgで, 試作にあたつては, とくに, 生体に対する安全性と, 機械自体の耐用性に重点をおいた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
このページの一番上へ