アブストラクト(23巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈弁上部狭窄により作成された左室肥大犬における左室壁心筋内組織圧, 局所冠血流量, およびその外科的意義について
Subtitle :
Authors : 奥森雅直, 村上忠重, David.C.Mac Gregor*, Ronald J.Baird*
Authors(kana) :
Organization : 東京医科歯科大学第1外科, *トロント大学外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 3
Page : 251-262
Year/Month : 1975 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈弁上部狭窄により作成した左室肥大犬を使用し, 左室肥大心筋の血流分布が, 正常搏動, 体外循環下の搏動および心室細動と条件が変ると如何に変動するかを, 心筋内組織圧とmicrospheres法により局所冠血流量を測定し比較検討した. 実験には8頭の左室肥大犬と6頭の正常雑種成犬を使用し以下に示す結論を得た. 1)正常搏動では, 肥大心内膜側組織圧は正常犬に比較し高い圧を示し, 収縮期に内膜側の血流分布は困難と考えられる. 左室壁への冠血流量は肥大犬で正常犬よりも増加を示したが, 内膜側に対する外膜側の冠血流量比(Endo/Epi比)は肥大犬で低下を示し, 内膜側血流の外膜側への移動分布が見られ, 正常搏動下でも内膜側のischemiaに落ち入り易すい事を示した. 2) 体外循環下左室ベントした搏動では, 肥大犬の高い心内膜側の組織圧は存続し, 平均体外循環潅流圧70mmHgでは組織圧は潅流圧を越え, 収縮期には血流分布は心内膜側で不可能となる. 拡張期にのみ血流分布がなされ, 此の点拡張期組織圧が重要であるが現在不明である. しかしながら理論的には, 潅流圧を高くすれば拡張期組織圧との差が大きくなり, それだけ内膜側に多くの血流分布が予想され得る. Ht25%o血液稀釈, 正常温, および潅流圧70mmHgの条件で肥大心筋の内膜側は正常に維持された. 3)体外循環下の搏動より心室細動と条件が変ると, 肥大犬心内膜側の組織圧は著名に降下するが, 正常犬の組織圧よりやや高い値を示しそのため潅流圧と組織圧の差が肥大犬て減少を見た. 冠血流量では, 正常犬が搏動から細動と変ると著名増加を見るに反し, 肥大犬では減少した. さらにEndo/Epi比も細動心で低下の傾向があり, Ht25%血液稀釈, 常温, 体外循環潅流圧80前後で条件での心室細動は心内膜側の血流分布異常の危険があり, 肥大心の体外循環に際しては搏動下の手術が安全と考える. 4)体外循環心室細動下で, 体外循環の潅流圧の降下は著名なEndo/Epi比の低下を伴い, 内膜側の血流は外膜側に移動分布し内膜側のischemiaが低潅流圧で発生する危険がある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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