アブストラクト(23巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 先天性肺動脈形成不全に対する新らしい手術の考案ならびに実験的研究
Subtitle :
Authors : 井島宏, 前田肇, 金崎世紀子, 堀原一*
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医大心研理論外科1外科, *筑波大学臨床医学系(外科)
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 3
Page : 272-278
Year/Month : 1975 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 最近は複雑心奇形に対しても積極的に開心術が行われるようになってきたが, 肺動脈の全欠損に対しては, 現在のところ外科的治療法がない. 著者らはこのような症例に対して, 静脈血の酸素加を自家肺で行うことを目的とした実験的研究を行った. 雑種成犬を用い, 肺静脈に他犬の静脈血をポンプで流入させ, 肺動脈から流出させた肺血流の逆潅流実験において, 静脈血酸素分圧を動脈血酸素分圧の65~95%に酸素加することができた. また, 肺動脈上および中葉枝を結紮し, 肺動脈下葉枝を一部の肺静脈小葉枝に吻合し, 他の肺静脈より流出させた慢性実験において, 術後10日~72日の観察をした. その結果, 動脈血酸素分圧の19.5%にすぎなかった静脈血酸素分圧を平均45.7%にまで上昇させ, 炭酸ガス分圧を動脈血の炭酸ガス分圧まで低下させることができた. 術後の血管造影では肺静脈小葉技の間の吻合は少なく, 末梢までよく造影されている. 肺静脈小葉枝に流入した血液は容易に肺毛細血管床に達し, ガス交換を行った後他の肺静脈小葉枝を経て流出する. 以上の結果から, 右心室流出路から肺静脈に血液を流入させ, 肺静脈から流出させる血行再建術は肺動脈の高度な閉塞性疾患患者の救命や延命を目的とする手術として可能性のある新しい試みと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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