Authors : |
紺野進, 近藤宜雄, 福留厚, 渡辺千之, 岡村経一, 浮島仁也, 保崎純郎*, 安部信三*, 畑野良侍**, 十九浦敏男**, 村上忠重** |
Abstract : |
はじめに 部分肺静脈還流異常の一型であるScimitar症候群がその特異なレ線上の特徴から注目を集めるようになってから既に久しい. 1960年Neillら1)が, 右肺を上下に走り下大静脈に還流する右肺静脈陰影(Scimitar sign)をともなう疾患をScimitar症候群と命名した. 本症候群はしばしば右側の肺および肺動脈のhypoplasia, 心の右方旋回, 右肺葉および気管支系の異常, 大循環系からの動脈供給, 合併心内異常などを伴う. 本症候群は比較的稀なもので, 著者らが集計した本症例の数は英独和文献に限っても約140例で, 本邦では8例2)-8)の報告を見るに過ぎない. 本症候群の発生, 病態について興味深いものがあるが, 一般に予後は良好とされている. しかし, くりかえす肺感染のあるもの7)9-14)や, 左右短絡の多いもの15-19)は手術の適応とされており, とくに心房中隔欠損(ASD)をともなう本症候群10)14)17)20-37)は短絡量の多い17)22)23)31)37)ことから手術が必要となる. 著者らは最近, 術前に心臓カテーテル, 心血管造影等により, ASDをともなうScimitar症候群を診断し, ASDから異常肺静脈口へのパッチ縫着術により治療した. 本症候群の手術適応および術式についての検討をあわせ報告する. |