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はじめに 上行大動脈瘤と大動脈弁輪の拡大を呈し, しばしば大動脈弁閉鎖不全を伴うものをEllisらはAnnulo-aortic Ectasiaと呼ぶよう提唱した1). この病変は多くはMarfan症候群に合併し, Marfan症候群を合併しない不全型も同様の代謝異常を基礎としていると考えられている2). Annulo-aortic Ectasiaは進行性病変で主として青年期以後その症状を現わし予後は不良であるが, とくに心不全を呈してからの予後は2～4年とされている. したがって早期の外科的治療が必要であるが1956年Bahnson3)の報告以来, 本邦では1966年小柳, 橋本4)らの報告以来種々の方法が試みられている. 最近ではSingh5)らの大動脈弁および上行大動脈を同時に置換する方法がとられ次第に好成績を得るに致っている. われわれは9才男児の心室中隔欠損を伴うAnnulo-aortic Ectasiaに対し心室中隔欠損閉鎖, 大動脈弁形成および大動脈壁縫縮を行った. 術後約1年6ヵ月の経過観察を行った結果, 好成績を得たと判断し得たので報告する. なお心室中隔欠損を合併するAnnulo-aortic Ectasiaは文献上見出し得なかった. |
