アブストラクト(23巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 低体温法の研究 ―とくに潅流冷却中および循環遮断時の脳脊髄液の変動について―
Subtitle : 原著
Authors : 那須正紀, 砂田輝武
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部砂田外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 7
Page : 847-865
Year/Month : 1975 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 咽頭温を指標として20℃まで潅流冷却した後40分間循環遮断した過程の脳脊髄液(CSFと略す)と動脈血のPO2, PCO2, pHおよび乳酸の変動をしらべて, 潅流冷却中にいかに脳がよく潅流され, ひいては冷却されているかをしらべた. 20℃時の動脈血PCO2が60mmHg(37℃で測定)の群を第I群, 40mmHgの群を第II群, 30mmHgの群を第III群, 20mmHgの群を第IV群として検討した. 結果は, まず潅流冷却中の変動についてのべる. PCSFO2の変動はPaO2に対するPCSFO2の比で表したところ20℃時に第I群が0.32で他群よりあきらかに高値を示した. CSFのpHの変動は動脈血の変動に比し非常に緩除である. CSFの乳酸の上昇値は第I群が最低値を示し, 第IV群が最高値を示している. つぎに40分間の循環遮断をした後のCSFの変動についてのべる. PCSFO2の低下率は各群ともほとんど差を認めなかった. PCSFCO2の上昇率は第I群が低く第II・III第・第IV群につれて高値を示した. CSFのpHの低下値も第I群が軽度で第II・第III・第IV群になるにつれて高値を示している. CSFの乳酸の上昇率もやはり第群Iが最低で第IV群になるにつれて上昇率が高い. 以上の結果より, 潅流冷却中および循環遮断後の脳脊髄液の変動値より, 4つの実験群の中では, PaCO2が60mmHgの群が他の3群より潅流冷却中の脳血流量が多かったと考えられる. すなわち少なくとも咽頭温20℃までの低温体外循環でも炭酸ガスは脳血管に拡張的に作用するので, ある程度PaCO2の高い(PaCO2 60mmHg)方が脳循環と脳冷却に有利と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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