アブストラクト(23巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環における血中脂肪球の消長 ―その由来と血液濾過装置の効果について―
Subtitle : 原著
Authors : 荒木威, 中村和夫
Authors(kana) :
Organization : 鳥取大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 7
Page : 866-874
Year/Month : 1975 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後の合併症に密接な関連性をもつと考えられる血中脂肪球について検討した. 対象は体外循環下開心術症例32例で, 15例ではdisposable filter(BARRIER, Johnson & Johnson)を吸引回路内に装着し, 15例ではこれを使用しなかった. 人工心肺の動脈回路, 吸引回路より採血して, 8μ pore size microfilter(SARTORIUS, MEMBRANFILTER GMBH)により脂肪球を分離し, Oil-Red-O染色後に顕微鏡下に観察した. また7例においては体外循環前, 中, 後の血中脂質, リポ蛋白の消長を観察した. 脂肪球は吸引回路内にもっとも著明かつ高頻度に認められ, 動脈回路では減少していた. disposable filterによる脂肪球の捕捉は少なく, 体外循環時間と比例せず, filter後の血中にもなお多数の脂肪球が認められた. 体外循環中のTriglycerideは低値でhyperlipemiaの状態は認められず, リポ蛋白分画測定でもリポ蛋白変性を思わせる所見はなかった. これらの結果から体外循環中の血中脂肪球は組織脂肪の脱落混入によるものが主であると思われ, hyperlipemiaやリポ蛋白変性などによる結果とは考え難かった. また今日広く利用されているdisposable filter(BARRIER, Johnson & Johnson)による脂肪球除去については, その効果はあまり期待できないと思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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