Abstract : |
昭和46年1月から49年6月までの過去3年半に, 22例の開心術後完全房室ブロックを経験した. その発生頻度は開心術全体の5%, 心室中隔欠損症, ファロー四徴症, 心内膜床欠損症についてみると9%であつた. 完全房室ブロック発生後の経過は, 術後早期死亡例5例, 一過性の房室ブロックを示したもの11例, 永続性の房室ブロックを示したもの6例であつた. 術後早期死亡例は, 3~23日に低心拍出量症候群, 急性腎不全, 肺水腫で死亡した. 一過性房室ブロックを示した症例は, 2時間~24日(平均8日)で洞調律に回復したが, その回復の過程は, 完全房室ブロックより第II度房室ブロックに改善したり, 間けつ的に第II度房室ブロックや洞調律を呈するなど, ブロックの程度の改善を示した後に洞調律に回復し, 80%以上の症例では1週間以内にこのようなブロックの改善を示した. 永続性房室ブロックを示した6例中, 4例は完全房室ブロックが持続し, 2例は第II度房室ブロックにまで改善したが, 洞調律には回復しなかつた. これらのうち4例にStokes-Adams発作を認め, 5例にペースメーカー植込みを行つた. われわれは永続性完全房室ブロックに対しては, 積極的にペースメーカー植込みを行う方針である. |