アブストラクト(23巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 単心室および(心室)洞部中隔全欠損症の形態と臨床病理
Subtitle :
Authors : 安藤正彦, 高尾篤良
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学心臓血圧研究所小児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 8
Page : 964-992
Year/Month : 1975 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 従来単心室と呼ばれて来た疾患群で, 診断が確立し得た33症例(剖検30, 術中写真証明3例)について, 形態所見を検討した. 心室形態の差により, 洞部中隔全欠損(TSD, Van Praagh分類C型単心室), 左室性単心室(SLV, A型単心室), 無機能左室のある右室性単心室(SRVc“LV”), それのない右室性単心室(SRVs“LV”, B+D型単心室)の4種を認めた. 前三者はそれぞれ独立した疾患単位である. TSDは洞部中隔の全又は亜全欠損, 左右心室洞部の存在, 発育の良い円錐中隔が特徴的所見である. 発生学的には, 洞部中隔発育不全によるものと考えられ, 形態および発生学的に, 単心室からは除外される. SLV, SRVc“LV”は, 中隔および左右心室が不完全ながらあり, 発生学的には, 心室中隔が心房中隔に対して, 原発的整列異常を来した心房心室並列異常によると考えられる. SRVs“LV”には少なくとも無機能左室が肉眼的に認め難いSRVc“LV”と, 左右心室洞末分化の単心室(Van Praagh D型単心室)の2疾患を含む症候群と思われる. これら4疾患には, 明らかな形態学的特徴があり, 客観的な区別が可能である. 各疾患の形態所見について, その臨床診断および外科治療上の意義および適用について論じた. 主要心血管構築を, 右房・肺動脈, 左房・大動脈を心室内で結ぶ2つの想像線関係で分類すると, 平行型と交差型の2つに分けられる. 両線の心室内における関係は, 心室中隔が欠如したり, 本来の位置にないTSDや単心室症例の心内修復方法決定に重要である. 平行型は両線に挟まれる空間に人工中隔を挿入する事により, 心内修復が可能であり, 交差型では完全大血管転換に行われる種々の手技が必要である. 房室弁奇形, 大血管流出路奇形などの合併奇形を考慮して, TSDの71%は心内修復が可能であり, そのうち平行型の2例に成功した. 単心室全体では42%が修復可能であり, 平行型SLV2例に成功例がある. 将来の心内修復のために, 新生児乳児期早期よりの計画的管理が, これら疾患には重要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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