アブストラクト(23巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Bentallの術式によるannulo-aortic ectasiaの外科治療
Subtitle :
Authors : 川島康生*, 高野久輝*, 浜路政靖*, 村田弘隆*, 大西健二*, 橋本聡一*, 森透*, 内藤泰顕***, 井町恒雄**, 藤田毅*, 曲直部寿夫*
Authors(kana) :
Organization : *大阪大学第1外科, **国立愛媛病院外科, ***大手前病院心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 8
Page : 993-1000
Year/Month : 1975 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈弁輪を含めて上行大動脈の異常拡張をきたすいわゆるannulo-aortic ectasiaは胸部大動脈瘤の中でも特殊な範疇に属するもので, 手術に際しては動脈瘤に対するとともに, 大動脈弁に対しても処置をほどこさねばならぬ事が多い. 本症に対する手術成績は, 今日までのところ決して良好とはいい難く, ことに姑息的な手術が行われた症例の成績は不良である. 本症に対する手術を行うにあたつては, 今日では上行大動脈と大動脈弁とをそれぞれ人工血管と人工弁で同時に置換する方法がひろく用いられている. しかしながらこの方法は手術に際しての出血の制御が困難なことがあり, また術後遠隔期に, 人工血管と人工弁との間に瘤の再発を来す例が報告されている. この様な欠陥を除くものとして人工血管と人工弁をあらかじめ縫着しておき, この両者を一塊として上行大動脈と大動脈弁の置換に用いる方法がBentallらによつて発表された. 著者らはこの方法の利点に着目し, これに若干の手技的改良を加えて現在迄臨床例4例に用いた. 症例は23歳ないし47歳の男2例女2例で, いずれもcystic medial necrosisに起因するものであり, 初めの2例にはStarr-Edwards弁を, 後の2例にはBjork-Shiley弁を用いたが, 前者の1例を失つた. 他の3例はいずれも順調に経過, 術後2ヵ月ないし2年7ヵ月の現在, 元気に日常生活を送つている. 死亡例は移植した人工血管が長過ぎて, その為に移植した人工弁の機能不全をきたしたものと思われた. かかる事態を避ける為にはBjork-Shiley弁を用いた方がより有利であり, またこの弁を用いた方が冠動脈口の処置をするのが容易である. したがつて今後は主としてBjork-Shiley弁を用いてBentallの方法を施行してゆきたいと考えている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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