アブストラクト(23巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心室中隔欠損に合併する突出性大動脈弁閉鎖不全症の発生機序に関する研究 第1編 解剖学的研究
Subtitle :
Authors : 龍野勝彦, 今野草二
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 9
Page : 1080-1090
Year/Month : 1975 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心室中隔欠損(VSD)に大動脈弁が陥入して閉鎖不全(AI)が生ずるいわゆるVSD with prolapsing AI(突出性大動脈弁閉鎖不全)の発生機序について11例のVSD with AIの剖検心および120例の単純VSDの剖検心を調べ, 解剖学的な面から検討を加えた. 本症の解剖学的特徴はつぎのとうりである. 1 VSDはすべて大動脈弁弁輪直下にあつて, 大動脈弁はValsalva洞の下端の一部とともにVSDを通して右心室側に突出している. 2 右心室側からはVSDは漏斗部接合線(infundibular raphe)上にあつて, その内腔は突出した大動脈弁によつてほぼ閉塞されている. 肺動脈弁下VSDでは欠損孔の後上縁と肺動脈弁弁輪の間には円錐部中隔筋の欠如した部分があり, Valsalva洞が露出している. 3 VSD内に, 突出した大動脈弁は遊離縁が肥厚, 延長しており, 他の二尖の遊離縁より低くなつており, 閉鎖能力が失われている. 欠損孔に陥入した弁輪部はむしろ薄くなつており, Valsalva洞と弁との境ははつきりしない. VSD兼突出性大動脈弁閉鎖不全の発生の本質的原因は正常に発達した大動脈弁とValsalva洞下端とが, 円錐部中隔筋肉の部分的欠如によつて右心室側からの支持を失うことにあり, 欠損孔を通し大動脈弁輪部が右心室側に移動するため, 弁遊離縁が下垂し, AIが生ずるのである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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