アブストラクト(23巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 色素希釈法による先天性および後天性心疾患の術前術後の血行動態に関する研究
Subtitle :
Authors : 藤井秀昭, 砂田輝武
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 11
Page : 1310-1328
Year/Month : 1975 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 先天性および後天性心疾患の術前術後に色素希釈法を応用して, その血行動態の変動を経時的に追求し, 各疾患につき分析検討を行いその機能的解明を試みた. ASD, VSDおよびPDAではとくに著変を示さないが, 高令者(30歳以上)症例で合併症(とくに肺高血圧症)を有するものは, 希釈曲線の回復は極めて遅く, 術後1ヵ月でも正常曲線がみられず, 合併症出現前に手術すべきであることを痛感した. TOFでは術前出現および上昇時間は正常よりもそれぞれ短縮および延長しているが, これは術直後よりそれぞれ延長および短縮し手術の効果を如実に反映する. しかしその正常域への回復は遅く, 希釈曲線手術後1ヵ月でも何らかの形で異常所見を残している. 僧帽弁疾患群は閉鎖交連切開術群はとくに著変を示さないが, 直視下交連切開術群および僧帽弁置換術群は術前から希釈曲線上の諸指標は異常値を示すことが多く, それだけに手術による改善傾向は極めて明瞭である. しかしその正常域への回復は緩徐である. 大動脈弁置換術群では希釈曲線上, TsおよびSpread/ATを除き術前術後とも著変を示さず, また術前心不全様曲線を呈する例でも体外循環停止後3~6時間ですでに正常patternが認められ, 希釈曲線の改善はまさに劇的であり, 僧帽弁疾患群とは極めて対照的である. 術後死亡例(14例)のうちLOSにより死亡した例(5例)の希釈曲線の経過を生存例と対比すると, 前者では術直後よりその諸指標値は改善傾向を示さず, あるいは一時的に改善しても再び悪化傾向を示しており, 後者の経過(術直後より安定した改常傾向を示す)とは極めて対照的であり, 本法による術後血行動態の経時的変動の追求は予後の判定に非常に有益な資料を与えてくれることがわかつた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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