アブストラクト(23巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Ebstein病の血行動態に関する研究
Subtitle : 原著
Authors : 高安俊介, 今野草二
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 12
Page : 1391-1401
Year/Month : 1975 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1歳から51歳までのEbstein病患者27例を3型に分類して, 各病型の血行動態を検討した. 三尖弁狭窄症優位型(TSi型)では, 右心房の血液の機能的右室への流入が妨げられ, 右心室の拍出量は低下し, 静脈血は左房に短絡する. この型の奇形は高度であり, 三尖弁のみにとどまらず右心全体におよんでおり, このため, 三尖弁の狭窄の影響はより増強される. 三尖弁閉鎖不全症優位型(TsI型)では, 三尖弁の面積の不足により, 強い閉鎖不全が生じ, 大量の血液が右心房と機能的右室との間を往復し, これによる容量負荷のために, 右心房と機能的右室の強い拡大が生ずる. 右心室の拍出量は比較的良好に保たれており, 症状は軽度である. 軽症型(Tsi型)は, 三尖弁機能が良好であり, 右心室の拍出量は充分で, 臨床的に, チアノーゼは無か, あっても軽度である. 心血管造影写真にて明らかな心房化右室が存在し, 右心房との間の造影剤の往復運動がみられるも, チアノーゼ, 自覚症の全くない症例がある. 心房化右室は, 右心室の拍出には大きな影響を与えるものではないと思われる. 以上, 本症においては, 主として三尖弁機能が, 血行動態に影響を与え, 個々の患者の臨床像を決定しているものと思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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