Abstract : |
人工肺ガス交換機能を評価する指標に関して, 未だ確立されたものはない. 本研究ではこの人工肺ガス交換機能の指標として, 有効肺血流量率(QP/QT)と炭酸ガス較差分圧比(ΔCO2/PaCO2)という2つの概念を導入した. 前者は人工肺の酸素摂取能に対するものであり, 後者は炭酸ガス排出能に対するものである. これらは次の数式で定義される. QP/QT=CaO2-CvO/Cc'O2-CvO2 但しCc'O2=1.34Hb+0.003(760-47) ΔCO2/PaCO2=CvCO2-CaCO2/PaCO2(Vol%/mmHg) 人工肺ガス交換機能を評価する指標としてこれまで用いられてきた各種のものと比較して, これら2つの指標は, 実験的にも, 臨床的にも勝れていることが証明され, その理論的裏付けを試みた. つぎに, 人工肺に流入する血流量(Q)が増加すると人工肺のガス交換機能は低下すること, および人工肺吹送酸素流量対人工肺流入血流量(V/)が増加すると, 逆に人工肺のガス交換機能は上昇することを, さきの(QP/QT)(ΔCO2/PaCO2)の2つの指標を用いて実験的に見出した. 上記の事実から, 人工肺のガス交換機能を評価する場合には, 単にQP/QT, ΔCO2/PaCO2の指標のみでは不充分であり, Q, V/Qの二要素が必須条件であることが判明した. そこでQP/QT, ΔCO2/PaCO2, Q, V/Qの四つの要素から成る人工肺特性値表, および人工肺特性曲線という新しい概念を提示し, その有用性について考察を加えた. |