アブストラクト(23巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 正常犬におけるIntraaortic Balloon Counterpulsationの効果と局所冠血流量について
Subtitle : 原著
Authors : 奥森雅直, 村上忠重
Authors(kana) :
Organization : 東京医科歯科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 12
Page : 1421-1429
Year/Month : 1975 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Intraaortic Balloon Counterpulsation(IABCP)の効果のうち, 収縮期に一致したバルーンのdeflationは左室の血液駆出を助け, 左室の仕事を軽減するとする事実について諸家の見解は一致をみている. しかしながら, IABCPの本来の目的である拡張期に大動脈弁とバルーンの間の血液を逆行させ, 冠動脈血流を増加させる効果については, 多くの実験的研究があるが, 動物の種類, 冠血流の測定方法, バルーンおよびその駆動装置などの違いもあり混乱がみられる. 今回市販されているballoon catheterとその駆動装置を使用して, 雑種成犬10頭にIABCPを施行して局所冠血流量をアイソトープでラベルしたmicrospheresを用いて測定し, 正常心でのIABCPによる局所冠血流量の変化を検討した. 同時にまた大動脈圧曲線よりDiastolic Pressure Time Index(DPTI)を計測しその価値についても併せて検討した. 局所冠血流量はIABCPによって正常犬では減少を示した. 左室の仕事軽減に見合う血流の減少が正常冠動脈のautoregulatory mechanismより起こされたと考えられる. それに加えて本実験では, 技術的要因による減少も考慮され, それについての分析も加えた. 一方, 正常心でIABCPによって冠血流量の増加があったとする場合, 大動脈内のバルーンが左室のafterloadとなって左室の仕事増加による冠血流量の増加を否定しなければならない. とくに大動脈の径が小さい場合は問題となろう. 正常心でのDPTIの測定は, 正しいバルーンによるdiastolic augmentationを理解するに役立った. 正常心の場合, 冠動脈圧が局所冠血流の決定因子とならない状況下では, DPTIは左室心内膜側の冠血流量を反映しないと云える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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