アブストラクト(23巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺高血圧症を伴う先天性心疾患における肺シンチスキャニング ―手術適応との関連を中心として―
Subtitle : 原著
Authors : 中村敬, 麻田栄
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 12
Page : 1430-1442
Year/Month : 1975 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 昭和42年9月より昭和47年4月までの間に神戸大学第2外科で取扱われたPp/Psが50%以上の肺高血圧症を伴うVSD 31例, VSD+PDA 5例, PDA 8例, ASD 5例, ECD 3例の合計52例に対して, 肺シンチスキャニングを行い, 肺血流分布上/下比, 肺血流分布障害の有無, 右→左短絡率を測定し, 血行動態ならびに手術成績との関連を検討し, 以下の結論を得た. 1)上/下比はVSDでは1.52~0.53, VSD+PDAでは1.09~0.80, PDAでは1.33~0.63, ASDでは1.63~0.63, ECDでは0.74~0.49であった. VSD, VSD+PDA, PDA 42例については, 3歳以上の症例では, 上/下比は肺動脈圧と正の相関を示し, 3歳以下の症例では0.54~0.82と低い値を示した. アイゼンメンゲル化した症例の上/下比は1.33~1.52と著明な高値を示した. 上/下比が1.0以下の25例では, 手術死亡は3例(12.0%)で, 肺動脈圧は術後1~2ヵ月で著明に下降した. 1.0以上の11例では手術死亡が2例で, 術後の肺動脈圧の下降は著明でなく, 12~24ヵ月においても高値にとどまった例があった. 2)肺シンチグラムを検討した結果, VSDでは肺血流分布障害なしが54.9%, 左肺分布障害が19.0%, 両側分布障害が26.1%認められた. 両側分布障害が認められた4例のうち, 根治手術が成功したのは2例(50%)のみであった. アイゼンメンゲル化した症例は, 全例両側分布障害を示した. 3)右→左短絡が認められたのは, VSD 9例, PDA 3例, ASD 3例の計15例であった. アイゼンメンゲル症候群6例の右→左短絡率は22.5~33.5%, その他の9例の右→左短絡率は6.2~25.8%であった. VSD 4例, PDA 2例に対して根治手術が行われたが, 右→左短絡率25.8%のVSD 1例が死亡し, 24.0%以下の他の全例では成功を収めた. 右→左短絡率25%あたりが, 手術適応の上限と考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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