Abstract : |
開心術例にインシュリン分泌抑制1)があるため膵内分泌変化のみならず外分泌にも何らかの変化はないものか追求した. 実験において雑種成犬16頭を用いた. さらに臨床においては先天性心疾患32例, 後天性心疾患32例の計64例について検索した. そしてステロイド使用例32例, ステロイド非使用例32例の2群について検討を行った. (1)人工心肺体外循環による開心術後には著しい高アミラーゼ血症, 尿症をそれぞれ89.1%, 96.7%に認めた. (2)体外循環時間が60分, 潅流量2.0L/M2/min, 最低直腸温30℃以上, 以下で, それぞれ比較すると, 60分以上, 2.0L/M2/min以下, 30℃以下の体外循環条件の時にアミラーゼ値の上昇傾向が著しかった. (3)体外循環条件がいかなる条件下でも, ステロイド使用例では未処置例よりアミラーゼ上昇は抑制されていた. ステロイドを使用し, さらにGIK液を投与した例はステロイド単独使用例以上にアミラーゼ上昇が抑制された. (4)アミラーゼの変動は体外循環と云う非生理的条件の影響をよく反映することが明らかにされ, アミラーゼの測定は体外循環開心術後経過を追求する上で極めて意義の深い方法であると考えられる. |