アブストラクト(23巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 先天性大動脈弁狭窄症の外科治療
Subtitle :
Authors : 半谷静雄, 竜野勝彦, 森川哲夫, 今村栄三郎, 今井康晴, 橋本明政, 今野草二
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 4
Page : 434-443
Year/Month : 1975 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 先天性大動脈弁狭窄症(Cong.val.AS)に関する報告は欧米に比し, 本邦では極めて少ない. 著者らは現在迄に約40例のCong.val.AS症例(入院例)を経験しているが, このうち手術を施行した14症例をもとに, Cong.val.AS症例の手術適応, 形態および手術方法につき検討を加えた. Cong.val.AS症例を外科的見地から年令により下記の4群に分類した. I群:1才以下でうつ血性心不全を主症状とする重症型. II群:1才から20才迄のCong.val.AS症例. III群:20才以上の症例. IV群:“Narrow aortic root”症例. 上記のうちI群は救命の為に緊急のvalvotomyを要するがその成績は満足すべきものではない. II群は弁の後天性変化も比較的軽度な症例が多く, valvotomyの最も良い適応になると思われる. III群の症例は石灰化等の後天性変化が強く, 再狭窄の頻度もII群に比し高い事からも全例人工弁置換術(AVR)の適応となると思われる. IV群は単なるvalotomyのみで圧差を減じる事は, 難かしく, また狭小な弁輪の為に充分な口径を有するAVRが困難な症例が多い. われわれの手術死亡例4例中3例がこの群に属していた. したがつてこの群に対しては特殊な形のAVRあるいは下記に述べる何らかの弁輪拡大術がAVRに加えて必要となる. 1. 人工弁はcentral flow typeのものを用いる. 2. 人工弁の縫合輪が無冠動脈洞において高位となるように斜めに人工弁を縫着する. 3. 拡張した上行大動脈にAVRを行い, ついでVEIN GRAFTを用いてAorto-Coronary Bypassを行う. 4. 右室流出路から大動脈にかけて切開を加え, 室上陵, 大動脈を縦切りにし, ここからAVR施行後, 大動脈, 室上陵および右室切開部位を本文に示すような特殊な形態のパッチで拡大閉鎖する. 上記4については1974年6月既に今野により臨床例で成功をおさめている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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