Authors : |
正岡昭, 前田昌純, 森隆, 門田康正, 中原数也, 古武弥宏, 竹村政通, 谷靖彦, 清家洋二, 曲直部寿夫 |
Abstract : |
「まえがき」重症筋無力症に対する治療という意図をもつて胸腺摘出術が行われるようになつてから, すでに35年経過した. 本邦においても1961, 2年頃からこの手術が行われるようになつた. 大阪大学第1外科では, 1958年に筋無力症を伴つた胸腺腫を摘出した経験に始まり, 1962年から筋無力症治療を意図した胸腺摘出術すなわち胸腺腫の有無にかかわらず胸腺摘出を行うようになつて, すでに13年を経過した. 1974年来まで胸腺摘出症例は92例(うち胸腺腫合併31例)に達し, その遠隔成績も評価し得る段階に到達したと考えられるので, ここに調査結果を報告する. 「対象および方法」1974年7月までに手術を行つた重症筋無力症例88例を対象とした. 調査は11月に行つたので, 少なくとも術後3ヵ月以上経過を観察したものが対象である. この期間中の手術症例は胸腺腫合併30例, 非合併58例であつた. これらのうち胸腺腫合併の2例は, 発病当初は筋無力症状を伴つていたが, 術前には筋無力症状は消失しており, この調査からは除外した. |