アブストラクト(23巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左冠動脈開口部閉鎖症にたいする外科療法の検討
Subtitle : 特掲
Authors : 瀬在幸安*, 松本孜*, 堀内昭男*, 長谷川隆光*, 望月穆*, 井上文正*, 山口宜伸*, 真宮裕*, 五十嵐正博*, 庄林誠*, 岩倉集*, 田野井均*, 矢ヶ崎千良*, 土屋寛治*, 大国真彦**, 小林弘**
Authors(kana) :
Organization : *日本大学医学部第2外科, **日本大学医学部小児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 10
Page : 1258-1266
Year/Month : 1975 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 左冠動脈開口部閉鎖症は文献上きわめてまれな心奇形であり, しかも本症にたいする手術成功例は著者らの症例(8歳女児)をふくめてわづか3例にすぎない. 本症は冠動脈奇形の分類上, 末梢冠動脈の走行に異常はないが, 大動脈からの起始異常を有する, すなわちMinor Coronary Variationに属するSingle Coronary Arteryである. この“Single Coronary Artery”の定義として, 心臓全体が動脈主幹に単一の開口を有する動脈により血液の供給をうけているものであつて, その動脈の分布状態は問わないとし, I~III型に分類されている. 著者らの症例は単一の冠動脈が正常心におけると同様に, 左または右冠動脈の走行を示すI型に属したSingle Coronary Arteryであつた. 成因的には未だ定説がなく, 冠動脈原基の一方の欠如説, 位置異常説, 胎生期初期における感染, 血栓, 寒栓, あるいは形成異常による冠動脈内腔の発育停止説などがあげられている. 症状は心筋の虚血性変化に基づく, 胸痛, 不整脈, 失神発作などであり, 心電図上運動負荷によるSTTの変化が診断上重要であつて, 確定診断は冠動脈造影法である. また本症は高頻度に心筋硬塞症の発生をみると言われており, 突然死の報告例もあるので早期の外科方法が必要である. 手術法として大動脈-冠動脈バイパス手術が実施されており, 成人例におけるバイパス手術と比して, 左冠動脈自体が細いために技術的には困難であるが, バイパス血流量はきわめて良好であり, また手術後の臨床症状, 心電図の改善がよく, 本症にたいするバイパス手術の有効性をしることができた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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