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心原性ショック時における肺循環障害にたいするIsoproterenolの効果について, つぎの実験的研究を行つた. 雑種犬の左冠動脈前下行枝の血流遮断を行つて, 急性心筋硬塞のモデルを作成し, 遮断30分後にIsoproterenol0.02μg/kg/minおよび0.2μg/kg/minをそれぞれ90分間投与し, 肺循環を中心とした検索を行つた. ショック後, Isoproterenolを投与すると, 体血行動態においては, 心拍出量の増加, 動脈血の軽度上昇, 中心静脈圧の下降, 全末梢血管抵抗の減少を生じ, 肺循環血行動態においては, 上昇した左房圧, 肺動脈楔入圧, 肺動脈圧の下降, および全肺血管抵抗, 肺小動脈抵抗のショック前への復帰, 肺循環時間の延長の軽減を生ずる傾向を示した. 肺機能面においては, 換気数, 換気量の増加度の軽減, 酸素消費量の復元傾向を示した. 血液ガス分析においては, 動脈血酸素分圧, 飽和度下降度は, 若干軽減され, 動脈血酸素飽和度較差は減少し, 炭酸ガス分圧の減少は復元傾向を示した. 組織学的には, うつ血性無気肺の発生は軽度であり, 肺胞内出血, 水腫もほとんど認められなかつた. Isoproterenol0.02μg/kg/min.を投与した群と0.2μg/kg/min.を投与した群との間には, 本質的な相違はないが, 後者の方が, 肺血行動態の改善度が若干すぐれているように思われたが, 明かな差という程でなく, 時々不整脈の発生などのマイナスの結果も生じた. 以上の実験成績からIsoproterenolは心原性ショック時においても, 肺循環障害の軽減に役立つことは明らかであるが, その過量使用は, さけるべきである. |
