アブストラクト(24巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Endotoxinシヨツクにおける肺循環障害の治療に関する実験的研究
Subtitle : 特掲
Authors : 岩倉集, 宮本忍
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 2
Page : 111-127
Year/Month : 1976 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : endotoxinを家兎の腹腔内に投与してショックを惹起させ, 肺循環障害の発生機序ならびにglucocorticoidの影響を明らかにするため, 次の実験的研究を行つた. 家兎に市販のEscherichia Coli O26 B6 10mg/kg注入して実験モデルを作製し, ついで4時間までの心肺の血行動態諸量測定および肺・肝の病理学的ならびに肺の電子顕微鏡的所見の検索を行つた. endotoxin注入20~45分後にアナフィラキシー様症状を示し, 動脈圧はショックレベルに下降する. 心拍出量も最初急激に減少し, 以後は漸減する. 全末梢血管抵抗は最初減少するが以後増加傾向を示した. 肺循環では直後から肺動脈圧の著明な上昇, 全肺血管抵抗の著明な増加, 肺循環時間の延長を認めた. 血液ガス分析において, 動脈血O2分圧とCO2分圧は急激に下降し, O2飽和度も軽度下降する. 動脈血pHは急激な酸性側移行を示す. 組織学的に肺は, 細小動脈から毛細管にわたる閉塞を示し, 著明なうつ血性無気肺を認める. 肝においては細胞の破壊と壊死を認める. 電子顕微鏡所見では毛細管のintra-vascular coagulation, 間質の浮腫, 毛細管内皮の浮腫による剥離と脱落, I・II型細胞の破壊などを認めた. glucocorticoidをendotoxinと同時投与すると肺動脈圧の上昇および全肺血管抵抗の増加は軽度で, 血圧はショックレベルには達しなかつた. また組織学的にも電子顕微鏡所見でも変化は軽度である. ショック発生後のglucocorticoidの投与は, 同時投与に比較すると明らかに劣るがある程度の効果のあることが証明された. 腹腔内にendotoxinを投与した場合, 著明な肺循環障害を生ずるが, その発生機序は器質的な細小動脈の閉塞を主体とし機能的な収縮によつて惹起されるものである. glucocorticoldの使用は予防的には著明な効果, 治療的にはある程度の効果が認められた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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