アブストラクト(24巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 虚血性心疾患の外科療法における血清酵素学的研究
Subtitle : 特掲
Authors : 五十嵐正博, 宮本忍
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 2
Page : 128-144
Year/Month : 1976 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 冠動脈疾患にたいする直接血行再建術である大動脈-冠動脈バイパス手術が施行されて以来, わが国でも次第に安定した手術成績をあげている反面, 手術後の心筋硬塞症の発生が深刻な研究課題として注目されてきている. このために虚血性心疾患の外科療法に伴う心筋傷害の有無と程度をしるうえで, Glutamic oxaloacetic transaminase(GOT), Glutamic pyruvic transaminase(GPT), Lactic dehydrogenase(LDH), LDH Isoenzyme, Creatine phosphokinase(CPK)を手術前後に測定した. 手術前診断では狭心症26例, 切迫心筋硬塞症3例, 急性心筋硬塞症4例, 合併症をともなわない心筋硬塞症5例, 合併症を伴う心筋硬塞症5例の計43例であつた. その結果, 狭心症例ではGOT, GPT, LDH, CPKにおいてバイパス枝数でみると, 多枝ほど高値を示した. また最高値からの回復傾向は急速であつた. 切迫心筋硬塞症例でも多枝ほど高値を示していた. 急性心筋硬塞症例ではGOT, GPT, LDH, CPKの最高値は第1病日であつた. 合併症を伴わない心筋硬塞症例は, やはり多枝ほどGOT, GPT, LDH, CPKが高値を示した. また多枝ほど最高値を示す病日がおくれていた. 合併症を伴う心筋硬塞症例はGOT, LDHが第2病日に最高値を示し, CPKは第1病日に最高値を示した. 回復傾向は死亡例が, もつともおくれていた. 心電図上新しいQ波発生例4例ではGOT, GPT, LDHの最高値は第2病日, CPKは第1病日であり, 回復速度はきわめて遅延し, 手術後急性心筋硬塞症の血清酵素活性値は心電図上Q波が認められなかつた症例に比較して, 著明な異常増加を示し, 診断上きわめて高い価値が認められた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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