アブストラクト(24巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術とジゴキシン血清中ジゴキシン濃度による検討
Subtitle :
Authors : 川田忠典, 石井淳一
Authors(kana) :
Organization : 昭和大学医学部外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 2
Page : 207-220
Year/Month : 1976 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後の不整脈とジゴキシン投与との関係を明らかにし, 体外循環前後の適切な投与方法をみいだすために, Raidioimmunoassay法を用いて, 開心術前後の血清中ジゴキシン濃度を測定した. 24例の開心術症例を対象とし, ジゴキシン投与方法の違いによつて分けた各群について検討を加えた. 術前48時間中止群では13例中3例, 24時間前中止群では7例中4例に術後ジゴキシンが関与したと思われる不整脈が出現したが, 両群とも, 不整脈群は非不整脈群に比して血清中ジゴキシン濃度は術前後を通じてより高値を示した. 不整脈は血清カリウム濃度4.5mEq/L以下で多く出現し, しかも48時間前中止群では血清中ジゴキシン濃度が1.5ng/ml以上で高率であつた. しかし, 24時間前中止群では1.0ng/ml以下でも不整脈がやや高率に出現した. 24時間前中止群では, 血清中ジゴキシン濃度は低い場合があつても, 心筋内ジゴキシンは術直後としては過量になりやすいことが不整脈の出現しやすい理由と推測された. 術前のクリアチニン・クリアランス不良例は血清中ジゴキシン濃度の体外循環前後値が高く, 術後ジギタリス中毒に陥りやすい. 以上の結果から, クリアチニン・クリアランス, 血清中ジゴキシン濃度を参考にし, 術前48時間, あるいはそれ以前にジゴキシン投与を中止し, うつ血性心不全, あるいはある種の頻拍型不整脈のないかぎり, 術後の予防的投与はおこなわず, 使用するにしても, 術前の維持量とほぼ同量を少量分割投与することがジギタリス中毒防止上有効かつ安全であると結論された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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