アブストラクト(24巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 低形成右室症候群に対する完全右心バイパス手術
Subtitle :
Authors : 入山正, 森川哲夫, 前田肇, 北村信夫, 小柳仁, 今井康晴, 橋本明政, 今野草二
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 3
Page : 291-299
Year/Month : 1976 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 低形成右室症候群2例に対し, 機能的根治手術ともいうべき完全右心バイパス手術を行い成功した. 症例1は, 3歳男子で, 大血管転位と肺動脈狭窄を伴う三尖弁閉鎖症(IIb型)との診断のもとに, 心房中隔欠損閉鎖と異種弁付人工血管を使用しての右房-肺動脈幹バイパス手術を施行した. 術後の心カテーテルおよびアンギオで, 移植グラフト部位の狭窄と右→左短絡の残存のため, 9ヵ月後に再手術を施行した. 再手術時, 右→左短絡の原因は低形成の三尖弁が残存していたためとわかり, これを閉鎖し, 移植グラフトを切除した後, 右房と肺動脈分岐部を直接吻合した. 再手術後の心カテーテルおよびアンギオでは良好な血行動態を示した. 症例2は, 16歳男子で, 5歳のときにGlenn手術をうけているIb型の三尖弁閉鎖症である. 低形成右室を切開するに, 肺動脈弁は正常で, これを利用して右房と肺動脈弁直下とを人工血管でバイパスした. 術後の心カテーテルおよびアンギオでは良好な血行動態を示したが, 肺内での右→左短絡の残存が考えられた. 本症候群では個々の症例によつて, 解剖学的にも血行動態的にも種々の形態をとるため, 手術適応や手術術式には多様性が考えられる. 従来より行われてきた保存的手術は, 完全右心バイパス手術が可能となつた以上, 右房機能の温存と潜在機能の賦活をはかり, 肺動脈の発育と保護の面からその適応と術式を考える必要が生じてきた. 完全右心バイパス手術後の肺内での右→左短絡の残存, 遠隔期での種々問題点をも述べ検討した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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