Authors : |
入山正*, 龍野勝彦*, 岡村健二*, 日野恒和*, 今井康晴*, 今野草二*, 森克彦**, 曽根克彦**, 三森重和**, 高尾篤良** |
Abstract : |
「はじめに」心内膜床欠損症(以下ECDと略す)に対する外科治療は, その欠損の程度および僧帽弁あるいは三尖弁の閉鎖不全の合併によつて, 成績には著しい差がある. とくに完全型においては, 数多くの問題が残されており, いまだ確立された手術手技はないといつてよい. 最近われわれは, 2歳男子で, 生後8ヵ月のときに一次孔閉鎖術を行つたが, 術後僧帽弁および三尖弁の閉鎖不全のため, 心不全症状と呼吸器感染をくり返していた症例に, 生体弁による二弁置換術を行い, 成功したので報告する. 「症例」患者は2歳11ヵ月(手術時年齢)の男子で, 生後6ヵ月のとき, うつ血性心不全のため, 当心研へ緊急入院した. 心カテーテルおよび心血管造影により, 完全型ECD(工藤の分類3)でA-1型, Rastelli A型)と診断し, 生後7ヵ月のときに一次孔のパッチ閉鎖術を施行した. このとき心室中隔欠損は, 共通前尖と共通後尖を引き寄せるだけで閉鎖された形になり, 心室中隔欠損閉鎖のための特別な手技は必要としなかつた. |