アブストラクト(24巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁疾患術後急性期における肺動脈拡張期圧-左房圧較差の臨床的意義
Subtitle :
Authors : 山田崇之, 坂本徹
Authors(kana) :
Organization : 東京医科歯科大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 24
Number : 8
Page : 1026-1030
Year/Month : 1976 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁疾患あるいは肺血管床に病変がない場合, 肺動脈拡張期圧(PAEDP)は左房圧(LAMP), 左室拡張期圧(LVEDP)にほぼ一致する. 僧帽弁疾患術後のPAEDP-LAMP圧較差推移を検索し, 術後急性期における圧較差増大因子ならびに肺血管病変の可逆性に関し検討を加えた. 術前, PAEDPはLAMPとともに上昇し, PAEDP>20mmHgで拡張期圧較差は増大した. 術後, PA<70mmHgのMS, MSI, MIではPAEDP<20mmHgとなる症例が多く, 圧較差は少ない. 術前, PA>70mmHgとなるとPAEDP>20mmHgとなる症例が増加し, 経心室性交連切開例でもみられた. 肺高血圧症例の体外循環による手術症例では, PAEDP>20mmHgをしめすものが大多数で, PAEDP-LAMP=1.25 PAEDP-22.47, r=0.94で拡張期圧較差は著明であつた. 僧帽弁手術によつてLAMPの下降をみるにも拘わらず肺高血圧症例や体外循環例では拡張期圧較差が増大した. この圧較差増大をPhenoxybenzamine(POB)1mg/kg/hr, Furosemide10mg.i.v.投与後の血行動態の変動から検討すると, POB投与によつてLAMP下降はみられたが, 圧較差の変動は有意でなかつた. Furosemide投与後では利尿によつてLAMP, 圧較差とも有意に下降し, 体外循環に起因する間質性肺水腫が拡張期圧較差増大因子と考えられた. 拡張期圧較差推移からみると, 術前, PA>70mmHg例では手術によつてLAMPの著しい下降をみるにも拘わらず拡張期圧較差増大が持続し, 肺高血圧症の完全な緩解はみられず, 稀釈体外循環に起因する間質肺水腫によつて増強されることがしめされた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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